Bicycle

2024-05-08

シマノスクエアの堺散走

4月27日にシマノスクエア人気の散走イベント「堺散走」を開催しました。


シマノの拠点がある大阪堺市を自転車で巡るスペシャルな散走です。


もともと3月開催を予定していた堺散走ですが、雨天延期で4月の実施となりました。


ところが今回も天気予報は雨。ギリギリまで開催を様子見していましたが前日の予報で曇マークに代わり「いざ決行!」となりました。


堺散走って?


シマノスクエア発の堺散走には「堺の包丁を巡る散走」「ミニベロ(小径車)で巡る堺散走」などいくつかのバージョンがありますが、今回めぐるのはシマノと同じ堺市で地場産業を営む工房です。堺に根ざした産業を自転車で巡り、まちの歴史と産業との結びつきを発見しよう!というのが堺散走です。


われらがシマノ本社へ


シマノ自転車博物館に集合した私たちが最初に向かったのは、シマノの本社です。博物館から自転車で南へ15分ほどの距離にあります。


休業日のため建物の中に入ることはできませんが、再来年に完成予定の新本社ビル(SGH Sakai Global Headquarters)や各事業部の研究開発棟、社員の駐輪場の外観をご覧いただきました。


ガラス張りの駐輪場を覗いてます


株式会社ナカニさんで注染体験


シマノ本社を後にした私たち。自転車でさらに南へ向かっていくと石津川にぶつかりました。


この石津川流域では江戸時代に綿花の栽培がはじまり、和ざらしや染め物の産業が発展したそうです。


石津川ほとり毛穴町(けなちょう)にある注染てぬぐいの「ナカニ」さんに到着しました。社長の中尾さんに迎えられ工場の中にお邪魔します。



いつもなら"染め"のみの体験なのだそうなのですが、今回はその前工程の"糊置き"と呼ばれる作業にも挑戦させていただきました。



ルアーをあしらったオリジナルの型をセットし、その上から糊を塗ります。こうすることで、糊が染料をブロックし、模様だけに染料が染み込みます。


ムラやかすれが出ないように均一な力で糊を伸ばします。これがなかなか難しい...!この糊の成分は海藻とのこと。


続いては染めの体験。"糊置き"が済んだ生地を染め台に置き、必要のない部分に染料が流れ出さないように土手を作ります。


おそるおそる絞る人もいれば、パティシエのような慣れた手つきの人も。「性格がでるね~」と。


土手ができたら、その中に"どびん"と呼ばれるじょうろで染料を注ぎます。


カラフルなハンカチサイズのルアー手ぬぐいが完成しました。


「注染」は大阪で生まれた技法。晒(綿の白い布地)を幾重にも折り重ねて染色することで、生地を余すことなくことなく1度に何枚も作れて低コスト。両面模様が出せるし、染めた部分も生地そのままのしなやかさが残って使いやすい、とメリット満載。


「大阪やな~」と声が漏れていました(笑)


茶寮 つぼ市製茶本舗 堺本館でランチ


お昼ご飯処のつぼ市さんへ向かいます。小雨が降っていますが、ご飯を目指して頑張ります。


阪堺電車が走る堺の旧市街を通ります。歩道の道幅が広く自転車通行帯も設けられているので快適に走行できます。


ランチはお茶にちなんだ料理づくめの茶粥セット♪


茶粥はほうじ茶で炊いたおかゆ。茶葉の佃煮を載せて戴きました。


レンコンで作られたハンバーグには玉露が入っています。もちもち食感でおいしかった!


名物の抹茶かき氷はふわふわで濃厚!繊細で崩れやすいですが溶けてしまっても濃厚で美味しい!


これを食べるために今回の散走参加してくださったお客さんも。


雨上がりの軒先で記念撮影。建物はなんと築340年!


株式会社 馬場刃物製作所さんで包丁研ぎ体験


堺は包丁で有名と知ってはいても、刃物屋さんは敷居が高くなかなか入りにくいもの。私は今回はじめて入りました。


馬場刃物さんでは、堺の刃物の伝統を継ぐ職人が減っているなか、技術を守りつつも働き方を今風に変えることで若手の育成にも力を入れているのだそう。ドイツ人の研修生もいらっしゃいました。


工房では最初の研ぎの工程「荒砥ぎ」を見学させてもらいました。刃ができる前の包丁を木の型に置き、回転するドーナツ状の砥石に押し付けます。


木製の型だけでも数百種類あるのだそう。


職人ひとりが1日につくる包丁は10本足らず。それだけ手間ひまかけてつくられているのだと分かります。


包丁研ぎ体験では、各々で持ち寄った包丁を研いでいただきます。


馬場さんの包丁を研ぐ姿が美しく、まさに職人芸。


砥石に対して歯の角度が一定になるように研ぐのがポイント。研がれた包丁は新聞紙をスパスパ切ってしまう抜群の切れ味になります。


馬場さんを囲んで記念撮影♪


最後に訪れたのはシマノ自転車博物館


堺に根ざした「注染」「お茶」「刃物」をめぐってきたところで最後に訪れたのはシマノ自転車博物館です。


"自転車のまち"としても知られる堺ですが、総じて金属加工が盛んな町でもあり、そのルーツは古墳時代にまでさかのぼると言われています。古墳の建設には必要な鉄の加工技術をもつ職人が多く住むことで、堺に鉄文化が生まれました。その技術が時代とともに鉄砲、刃物へと活かされ、明治時代に自転車産業がはじまったと言われています。


「自転車のはじまり」のコーナーでは、黎明期に発明家たちによって考案された様々な形の自転車が展示されています。


「ギア同士をチェーンでつなぐ発想はすごい」
「この時期に車輪にゴムがはられたんだね」
「ブレーキはなかなか進化しなかったんだね~」


見入っていると閉館のメロディーが...。堺散走の最後に訪れる博物館はいつも駆け足になってしまうのだそう。



シマノスクエアにもあります!


今回訪問したナカニさんのブランド「にじゆら」×「シマノスクエア」のオリジナル手ぬぐいはシマノスクエアの店頭にて販売しています!


また、実はシマノスクエアには、つぼ市製茶本舗から仕入れた材料を使ったカフェメニューがあるんですよ!


自転車博物館は行く毎に発見があります。次回行かれる際はぜひ展示をじっくりご覧になって下さい。特別展「江戸時代に考案された自転車」展が2025年3月23日まで開催中です。


イベント盛りだくさんの堺散走


堺に根付いた産業をめぐる堺散走は、新たな発見と学びに満ちていてとても充実感があります。


今回ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!