Bicycle
2024-07-25
スタッフの自転車組立て挑戦記|コンポーネンツ組付け(前編)
いよいよ駆動・変速・制動を担うコンポーネンツを取り付けて行きます。7月下旬に開催されるシマノバイカーズに間に合わせたいために急ピッチの作業でした。シマノのコンポーネンツが多数登場しますよ!
システムコンポーネンツとは?
自転車を構成する主要なパーツの集合体は「コンポーネント(ツ)」と呼ばれます。
その原点と謳われるのは1978に発売されたDURA-ACE EXシリーズです。
それ以前の自転車部品は、規格化されていないバラバラな部品同士を組み合わせて微調整しながらセットアップしているような状態でした。
EXシリーズでは、ディレイラー、ギア、チェーンなど全ての部品をトータルに考え、相互作用を追求し始めました。部品同士に互換性を持たせ、セット物としてを販売するようになったのです。
こうすることで、調整は楽になり、交換の際にも互換性が研究されたものが使えるなど整備性も向上しました。
このようにしてシステムコンポーネントの概念は誕生しました。
1984年に発売されたDURA-ACE 7400シリーズには、シフトレバーにギアの位置決め機構・SIS(Shimano Index System)が備わり、それまでライダーの感覚に頼っていたシフティングが誰にでも的確に行えるようになりました。
いまやすべての変速の標準となっているインデックスシステムですが、この仕組みは、チェーン・ギア・シフター・ディレイラーの互換性が無くては実現しなかった、コンポーネンツの概念ありきの発明だったのです。
MTBコンポーネント「SLX」M7100シリーズ
シマノの「SLX」は、マウンテンバイク(MTB)向け中級グレードのコンポーネントです。今回の自転車組立てでは「SLX」の最新M7100シリーズを主に組み上げてゆくことにしました。
BB, クランクの取り付け
ボトムブラケット(BB)は、自転車のフレームとクランクを結びつける重要な部品です。
BBの内部にはベアリングがあり、クランクシャフトを支持しながらペダルを漕ぐ際にクランクが滑らかに回転するようにする役割があります。
取り付ける前に、フレームのBBシェル幅を測ります。
シェル幅は、フレームによって68mm 73mm (83mmのものもあります)がありますが、挟むスペーサーの枚数で調整します。
BBを装着し専用の工具を使って締め付けてゆくのですが、駆動側には逆ネジ(反時計回りの方向で締まる)が切ってあります。
これは漕いだ状態で、ネジが閉まる(緩みにくい)ように考慮されているためです。
続いて「自転車の顔」と呼ばれるクランクを取り付けます。
現行のM7100シリーズではありませんが、バッシュガード(チェーンやチェーンリングを保護する部品)を取り付けたいため、M660シリーズ(2008年発売)を使用します。
ホローテックⅡのクランクはボトムブラケットシャフトがクランクアームに一体化しているので、BBに挿し込むだけで簡単に装着できました。
左クランクアームを取り付けます。キャップを装着し、専用ツールでしっかりと締め付けます。
クランクのボルトを締めこんでいきます。2か所あるボルトの片方を一度に締めるのではなく交互に均等な力で。
カセットスプロケットの取り付け
カセットスプロケットは後輪に取り付けるギアの集合体です。現行のマウンテンバイクのコンポーネントはリア12速。12枚のギアが塊になった部品です。
一番小さいギア(トップ)から一番大きいギア(ロー)まで、10Tから51T(歯のギザギザの数)ありかなりインパクトのある見た目です。
マイクロスプラインのフリーボディには1箇所だけ長さの違うスプラインが切ってあるので、ギアを間違った角度に取り付けてしまう心配はありません。
ギア毎に材質や歯の形が異なり複雑な外観をしたスプロケットは、スムーズで迅速な変速を可能にするために設計されています。
最後にロックリングを専用の工具で締め付けて取付完了です。
ディスクローターの取り付け
シマノのディスクブレーキは中央を1つのネジで固定する「センターロック式」のため、作業が簡単です。
ハブのセレーションに、ローターをはめ、ロックリングを締め付けます。先ほどカセットスプロケットを締め付けるのに使用した工具を使うことができました。
しかし前輪のローターを同じ要領で固定しようとすると、スルーアクスルの軸穴に工具が干渉してしまいロックリングを締めることができません。
スルーアクスルには、それ専用のロックリングを使用するのでした。このロックリングはホローテックⅡのBB脱着用の工具で取り付け可能です。
コンポーネンツ組付け(後編)につづく