Fishing
2024-09-22
初心者でも楽しめる!和歌山・印南のスーパーライトジギング
「あさっては朝4時に集合だから」
釣り人の世界では当たり前だそうですが、私にとっては前代未聞の集合時刻でした。
「釣りは魚の都合に合わせて動くから24時間営業」
「始発で行っても間に合わんからレンタカーで行ったらいいよ」と言われ、急遽カーシェアリングに会員登録。
カーシェアリングは24時間いつでも借り返し自由なので、釣りとの相性は抜群です。
出発の前日
近所の釣具店へ日焼け対策グッズを探しに行きました。
過酷な環境下でも快適に釣りができるように、シマノには様々な種類の日焼け対策グッズがあります。
私が買ったのは、キャップの上から被るタイプのサンシェード。釣りグッズとして売られているものですが、日常からアウトドアまで幅広く使えます。
身支度を済ませ、深夜1:00に自宅を出発しました。
深夜の高速道路、しかも下りの和歌山方面は車がほとんど走っていません。
午前4時
2時間ほどかけて夜明け前の印南港に到着。東の空に朝の気配を感じます。
乗船の30分前に酔い止め薬「アネロン」を服用します。
レンタルボートの受付を済ませ、タックルやクーラーボックスをボートに積み込みます。
ボートの中央には生け簀があり、そこにモバイルタイプの魚群探知機をセットします。
店長船長のもと出船
さすがに小型ボートともなると波の影響をもろに受けます。とくに漁船がそばを通った時には、立っていては振り落とされてしまいそうなほど船が揺れます。
日本では小型船舶に乗る際にはライフジャケットの着用が法律で義務付けられており、とくに、国土交通省の認定を受けた「桜マーク」付きのライフジャケットを着用が求められます。
シマノの膨張式救命具にはすべて「桜マーク」が付いています。写真からは少々わかりづらいですが、2人ともウエストタイプの膨張式救命具を着用しています。
「一度、この辺でやってみようか」魚探のアラームが鳴っています。
今回お借りしたタックルは明石で鯛ラバをしたときと全く同じ。ロッドは、強度と軽量性を備えた「グラップラー」。リールは軽量仕様の「バルケッタ」。長時間の釣行でも疲れにくいのが特長で、仕掛けの水深を表示できるデジタルカウンターも付いています。
スーパーライトジギングとは?
ここで、今回の釣り「スーパーライトジギング」通称SLJについてご紹介します。
SLJは、軽いメタルジグ(30~60g程度)を使って行うジギングの一種。ルアーが軽いので通常のジギングよりも体力的な負担が少なく初心者や女性でも手軽に楽しめる点が魅力です。またターゲットとなる魚種が多彩で、根魚、アオモノ、マダイなど様々な魚を狙うことができます。
「根魚は岩礁に隠れていることが多いから、漁の網には掛からないんだよ」
店長曰く、料亭では高級魚とされる根魚が千円前後のルアーで釣れてしまう歓びと、何が釣れているのか水面に上がってくるまで分からないドキドキ感が魅力なのだそう。
リーダーの先端にスナップを取り付け、メタルジグを装着したら海に落とします。
1投目でさっそく何かが掛かりました。まっ赤な姿が水面に上がってきました。
「ガシラ」の標準和名は「カサゴ」です。関西や高知県では「ガシラ」と呼ばれています。日本各地でさまざまな名前で呼ばれており、昔から日本人にとって馴染み深い魚です。
下あごをつままれている姿は少々不憫ですが、口の大きな根魚にはフィッシュグリップが非常に有効。とげのある魚でも安全に掴むことができます。
その直後に店長は大きなオオモンハタを釣りあげていました。
この日はアカハタが非常に良く釣れました。
「ここはアカハタの巣だね」
何度もヒットしていると、掛かった瞬間に何が釣れている分かってきます。
「ハタはすぐやる気を無くす」
ハタ系の魚は掛かった瞬間は「ググっ」と強く引くものの、その後は抵抗なく海面まで上がってきます。
釣り上げてもあまり抵抗することなくヒレをパタパタと動かす様子が可愛らしく「釣られてしもた」と言っているようで忍びない気分になります。
ボートの上は快適なプライベート空間
貸し切りのレンタルボートなら、釣りに疲れたら昼寝をするのも自由。
日を遮るものがないので暑いですが、裸足になって船べりから脚を下ろせば冷たい海水に足を浸けて涼むこともできます。
補給食に買ったバナナを食べていると「釣りではバナナを食べてはいけないって知ってるか?」と言われます。
初耳でした。「まあええよ」と言われたものの、気になってしまい帰ってから調べてみると...。
~昔、バナナを運んでいた木造帆船がバナナの腐敗によって沈没したことがあり、それ以来、船乗りたちはバナナを不吉なものと見なすようになった~
釣りに纏わる1つのジンクスのようです。良い教訓になりました。
大海原の戦い!?
満足するほどにアカハタを釣り、私は集中力が切れ、気がそぞろになっていた頃のことでした。店長の竿に、ヒットするも強烈に引かれてラインをちぎられてしまうという事案が多発。
「よく走る、青物だろうな」
「でもあまりにも強烈な引きで不自然」
「どうしても姿を見たい」
執念が伺えます。ノットを強化して再びジグを投下。すぐにまたアタリがありました。
大物とのファイト中にドラグが滑り続けるとリールが熱を持つことがあります。温度が上がりすぎるとドラグ性能が低下したり、リール自体が損傷する可能性があります。リールに冷水をかけて冷却します。
大格闘の末、海面に上がってきたのは...
海に素足を放り出していたことを思いだして背筋が凍りました。
正体が分かったところで「そろそろ上がろう」となり、今日の釣果を記念撮影。
「今日はアカハタの日やったけど、これがオオモンハタばかり釣れる日もある」
何がヒットするかはその日のお楽しみ。
スーパーライトジギングはまるで宝探しのような釣りです。軽いタックルを使って、海底を探るようにジグを落とすたびに、何がヒットするか分からないワクワク感があります。
初めての釣行にして、予測不可能な大物との出会いもあり、この釣りの醍醐味を存分に体感することができました。
調理編
釣った魚を美味しくいただくためには、帰宅後のもうひと頑張り「下処理」が必要です。
すぐに下処理(血抜き、内臓の除去、ウロコ取り、洗浄)することが、鮮度的にはもちろん、魚に対するマナーとしても望ましいです。
処理が手に負えないと感じた場合は、釣ったその場でリリースする判断も必要です。
ほろほろした身が上品。高級魚と言われる所以もわかります。
釣った魚を自分で食べるまでが釣りですね。
炎天下の船釣りは過酷な場面もありました。
でも全工程を振り返って「楽しかった、また行きたい」となるのが釣りだな、と初心者ながらに感じました。
みなさん、船釣りに行かれる際には、酔い止め、日焼け止め、それから睡眠時間の確保をお忘れずに!