Bicycle event
FactorISM × 堺染色散走(10月24日開催分:染色体験)
[開催日] 2021/10/24
2021年10月下旬、堺市内を自転車で巡る散走イベントを2日間行いました。
堺を代表する産業には「注染手ぬぐい」や「晒(さらし)染め」といったものがあり、 初日の23日には染め物体験と工場見学を実施しました。
翌日の24日は少しコースと内容を変え、堺の市街地エリアを中心に各所を自転車で訪れて、色々な伝統産業を体感してきました。
レポート:HIRO(シマノスクエア ラボスタッフ)
■堺地方合同庁舎前からのスタート
今回の集合場所は、堺地方合同庁舎・市民交流広場の前。
本日のコース説明などを行い、早速出発しました。
途中、南海線 堺駅の側を流れる「内川(うちかわ)・土居川(どいがわ)」の川辺に立ち寄りました。
かつては舟の運航や排水路として、堺の発展を支えてきた内川・土居川は、現代においては市民の憩いの場としての役割も担っている様です。
環濠都市・堺の一端を、垣間見る事が出来ました。
■ 堺旧港エリアへ
街中を通り抜け、海側にある「堺旧港」エリアを目指します。
北波止町にそびえ立つ「龍女神像(乙姫像)」を横目に、舗装された遊歩道をゆっくり走行しました。
白い六角錘形が特徴的な、「旧堺燈台」前に到着!
1877年(明治10年)に南波止場に築造された旧堺燈台は、約100年もの間、堺港を出入りする船の航海の安全を守り続け、1968年(昭和43年)にその役目を終えました。
そして今は堺市のシンボルとして人々に親しまれ、現存する日本最古の木造洋式灯台の一つとして、国の史跡に指定されているそうです。
この日は気温も高く、とても良い天気で絶好のサイクリング日和。
秋晴れの中、海沿いの景色を眺めながら、自転車でのんびりと走るのは爽快でした!
■ 大浜公園でお弁当♪
さて、待ちに待ったランチライム!
本日のランチは、『美々卯』堺店の「みみう弁当」です!!
近くの大浜公園に移動して、お弁当を頂く事に。
公園に着き、ウキウキしながらお弁当を広げると、季節の炊き込みご飯と、彩り良く詰められた惣菜たちが登場しました。
ポカポカ陽気の快晴の下、参加者の方々と一緒にお昼ご飯を頂ける、という幸せ。
そして、やっとイベントが開催できた、という喜びを噛み締めながら、上品な味わいの美味しいお弁当を平らげました。
■ 大浜公園内を散策
昼食後、大浜公園の中を少し散策。
実は、ここは堺市営で最も古い公園。
1879年(明治12年)に開園し、かつては海水浴場や料理旅館、東洋一とも評された世界に誇る水族館なども併設され、関西有数のレジャースポットとして賑わっていたそうです。
しかし現在は、野球場やテニスコート、体育館、プール、相撲場等があるスポーツ・レクリエーションスポットに様変わりしています。
そんな公園内には、何と「猿飼育舎」もあり、沢山のアカゲザルが飼われています。
丁度見に行ったのが、お昼時だったからでしょうか・・・。
真昼の眩しい直射日光を避けるためなのか、どの猿も示し合わせた様に、外に背を向けて座っていたのが印象的でした。
■ 染め物体験
大浜公園を発ち、『堺伝統産業会館』へ。
1階の「匠のひろば」スペースでは、「FactorISM(ファクトリズム) 」というモノづくり企業が共同開催するイベントの一環で、この日限定の様々なワークショップが実施されていました。
こちらで散走参加者の方々には、2種類の染め物体験にチャレンジして頂きました!
① 注染(ちゅうせん)染め
まずは、「注染染め」です。
ご指導くださったのは、『株式会社西川由染晒工場』の社員さん。
手ぬぐいの生地の上に、ホイップクリームを絞り出すようにして糊で「土手(どて)」を作り、ジョウロに入った染料を生地に注ぐ工程を体験頂きました。
出来上がった手ぬぐいは、とても鮮やかでカラフル!
参加者の方々は初めて行う作業に戸惑いながらも、それぞれ思い思いの仕上がりに満足されておられた様でした。
因みに、今回ご用意頂いた手ぬぐい生地には、色んな種類のルアーが描かれています。
『株式会社ナカニ』とシマノスクエアがコラボして誕生した、特別なデザインのものです♪
②絞り染め
次は、「絞り染め」。
『角野晒染株式会社』の社員の方々が、対応してくださいました。
今回体験頂いた「雪花(せっか)絞り染め」は、三角に折り畳んだ手ぬぐい生地の、三角形の底辺や角を染料に少し浸ける染め方です。
染め終えた生地を広げると、雪の結晶のような花模様が現れるのですが、水洗いをする事で染料が化学反応を起こし、色合いがどんどん変化していきます!
実際に目の前で、色が刻々と変化していく様子は非常に面白く、見ていて飽きません。
水洗い後は脱水し、最後にアイロンがけをして完成!!
同じ染色方法でも、選ぶ色や、染料に浸ける深さ・時間によって、多種多様な花模様ができます。
今回の絞り染めで生まれた、世界で唯一、自分だけの色と柄。
色とりどりに染め上がった手ぬぐいは、どれも素敵で個性的でした。
■ 刃物の世界
染色体験後は、堺伝統産業会館の2階にある『堺刃物ミュージアム』を見学。
堺の歴史や産業を語る上で、「刃物」の話は避けて通れません。
世界遺産に登録された仁徳天皇陵をはじめ、堺周辺には古墳が数多く存在します。
それら古墳作りに必要な、鋤(くわ)や鍬(すき)といった鉄製の道具を製造した事に端を発し、鍛冶技術が堺で大いに発展しました。
優れた金属加工技術を持った職人達の手によって、刃物製造が盛んになり、それが鉄砲鍛冶、ひいては自転車部品製造といった、後世の地場産業を生み出す礎となりました。
そして、このミュージアムは、今年4月にリニューアルしたばかり!
展示ケースには、刃物に関する歴史や製造過程に関する説明、バラエティに富んだ数々の包丁等が並べられていました。
その他、約300本(!)の包丁を使用したシャンデリア「HIBANA」は煌びやかで迫力があり、昭和25年頃から使われてきた鍛冶道具の実物「ベルトハンマー」は大きく、異彩を放っていました。
これら展示や掲示物から、刃物の魅力を感じて頂きました。
■ お茶体験
堺伝統産業会館を出て、阪堺線沿いにある『茶寮 つぼ市製茶本舗 堺本館』を訪問。
堺はかの有名な、千利休の生誕の地。
茶道と深い関わりがあるこの場所で、お茶体験をして頂きます。
つぼ市は、江戸時代の1850年(嘉永3年)に泉州堺で創業して以来、170年続く老舗のお茶問屋さん。
戦争で廃業の危機を迎えた事もあったそうですが、戦火の中から「茶」の看板が唯一焼け残った事が支えとなり、長らく事業を続けてこられたそうです。
この堺本店は、築300年を超える町屋をリノベーションして営業されているのですが、今回は普段開放されていない2階の「茶室」に入らせて頂きました。
外観から想像していたよりも、2階は天井が高く、広々としている様に感じて、ビックリ!
元々、仕出屋さんを営む建物だったそうですが、大通りに面している所は周囲の商家に配慮して控え目に、わざわざ低く見える様に作られたのだとか。
最初に、お店の方が講師となり、抹茶に関する講義をしてくださいました。
知られざる煎茶との違いや、製造過程、スーパーフードとしての効能、たて方など抹茶の基礎知識が楽しく学べて、大変勉強になりました。
その後は、各自でたてた抹茶と、お茶の佃煮、茶菓子を頂きました。
抹茶は全く苦くなく、とてもスッキリして飲みやすかったです!
佃煮は白ご飯が欲しくなる味付けで、和栗を使用した茶菓子はとても美味しく、抹茶とすごくマッチしていました。
講義と体験を通じて、奥深いお茶の文化を五感で味わう事ができました。
また、1階では抹茶やほうじ茶の、和のスイーツを提供されています。
因みに、今回ガイドを務めたシマノスクエアの副店長は、こちらの抹茶かき氷が大のお気に入り!
特注の堺刃物で削られた氷はフワフワの口溶けで、絶品との事です。
パフェなどもあるそうなので、是非改めて訪れたいと思います。
■ 自転車博物館を見学
お茶体験を終え、最後の目的地『自転車博物館』に向かいました。
大仙公園内にあるこの博物館は、2022年の春に南海線 堺東駅近くに移転する予定です。
移転に伴い、今年の11月末で一旦休業するそうで、その前にお伺いする事ができました。
ここでは、最古の自転車(複製品)からオリンピック出場車まで、約300台の実物が展示され、自転車発展の歴史を知る事ができます。
その他、ブレーキや変速の仕組みなどを実際に体験して学べたり、自転車をテーマにした児童の絵画が展示されています。
ガイドの方にご案内頂き、館内を見て回りました。
堺で自転車産業が発達した経緯を伺ったり、各フロアで展示されている様々な自転車の実物を眺めたりして、自転車の歴史に思いを馳せました。
■ 散走を終えて
夕暮れが迫る中、ゆったりと自転車を走らせ、出発地の堺地方合同庁舎へ。
ご自身で染めて頂いた手ぬぐいを手土産に、参加者の方々と解散しました。
今回の散走では、数々の体験・見学を通じて、堺の伝統産業を感じて頂きました。
走行した距離は初日(10/23の散走)に比べると短かったのですが、その分ギュッと内容は濃く、思い出深いものになったかと思います。
また、お天気にも恵まれ、小回りのきく自転車で、マイペースにあちこち巡る散走の楽しさを堪能して頂けたのではないでしょうか。
今後も散走イベントを実施していく予定ですので、是非ご参加ください!