Ride&Fish
2023-02-26
第1回:冬のRIDE&FISH 河口湖でワカサギ釣り&湖畔ライド!
RIDE&FISHを愛する自転車釣り人のみなさま、こんにちは。ライターの小俣と申します。この数年、自転車に乗って釣りに行くRIDE&FISHにハマっており、自転車雑誌でも自転車と釣りの連載を持たせてもらうほどです。
ここ1年の連載で釣った魚は、ヤマメにブラックバス、アメマスにアユ、ナマズ、シーバス。自転車で釣り場を探索し、価値ある一匹との出会いを楽しむRIDE&FISHは本当に楽しい遊びです。
縁あって、シマノスクエアさんのブログにて僕のRIDE&FISHを書かせてもらうことになりました。お付き合いのほど、よろしくおねがいします。
冬のホットなターゲット「ワカサギ」
さて、いまは2月。真冬です。一般に魚の活性が下がる冬ですが、冬だからこその釣りがあるのも日本の豊かなところ。お住まいの地域によって、「冬の釣り」でイメージするものは変わってきますが、僕が住む山梨県で冬にホットな釣りといえば、ワカサギです。
ということで今回は、真冬の河口湖にワカサギを狙うRIDE&FISHへと出かけました。とは言っても、ドーム船での釣りとなる河口湖では、自転車でポイントを探す必要はありません。ワカサギの時合である午前中に釣りをして、午後は湖畔をサイクリングで楽しもうという、『河口湖RIDE&FISH で大満喫プラン』を組みました。
若きワカサギのエキスパート現わる!
いつも自転車で陸から釣れる魚を狙う僕にとって、ボートでのワカサギ釣りは人生で2
回目。しかもその1回目も14匹という貧果だったのでこの釣りには苦手意識しかありません。ここは達人に習えということで、若きワカサギ名人に指導を仰ぎます。
その名は……尾崎渚さん!
尾崎さんプロフィール
山中湖の釣宿・FISHING HOUSEなぎさに勤める若きワカサギエキスパート。船上で日々蓄積される知見と、飽くなき好奇心で訪れる釣り人の信頼も厚い。二本竿での釣りをスタイルとし、山中湖・河口湖での釣りに精通する。Youtubeチャンネル「二刀流!!尾崎渚はワカサギ侍!?」も好評。(https://www.youtube.com/channel/UCePr6Lr74Ik7vBBQuh-vRrQ)
ワカサギファンなら知らない人はいないであろう有名人です。普段はお隣の山中湖をベースとされている尾崎さんですが、この時期は湖が結氷してしまって釣りができないとのことで、特別に河口湖へと出張っていただいて、ワカサギ釣りをご一緒してもらうことになりました。
ちなみに尾崎さん、様子見も兼ねて前日もここ河口湖で釣りをされたとのことですが、その釣果は、3500匹。
……!?
耳を疑う釣果ですが、つまり尾崎さんはそういう人なのです。シマノのフィールドテスターとしても活躍されていて、そのスキルや視点を、製品開発に絶えずフィードバックされているとのこと。これはもう、釣れたも同然です。
背景には美しすぎる冬の富士山。河口湖大橋下のドーム船で釣りがスタートです。今回は尾崎さんからタックル一式をお借りします。竿やリール、そして何より針とオモリといった仕掛けの選定がワカサギ釣りでは超重要。そのチョイスに各人のセンスや技巧が問われるわけですが、なにせこちらは3500 匹男の仕掛けです。もう、釣れたも同然です。
「朝の5分は昼の1時間」朝イチが勝負!
「見てください、魚が入っていますよ」
と言われて見た魚探は底から3mくらいまで真っ赤。ここは朝方にかけてワカサギの群れが溜まるエリアだそう。日が昇るとこの群れが散り散りになってしまうので、群れているうちにどれだけ手返し良く釣れるかが数を伸ばすポイントなのだとか。
(尾崎さんに餌までつけてもらって)早速仕掛けを投入すると、すぐにプルプルと小気味良いアタリが竿先に出ます。
……!
なんと入れてすぐにワカサギが釣れてくれました。繊細で透き通っていて、美しい魚です。見惚れてしまいますが、釣れるうちに釣っておくのがワカサギ釣りの基本。なんといっても、「朝の5分は昼の1時間」という金言があるくらいなのです。
それにしてもアタリはひっきりなしに続き、よく釣れてくれます。これは爆釣といってもいいのではないか。釣り始めて十数分で、自己ベストの14匹をあっという間に超えてしまいました。いやぁ、楽しい!ワカサギ釣りってこんなに楽しいんだ!
名人の釣りは(当然)一味違う
20匹ほど釣ったところで、なんとなくこの釣りが掴めてきました。より釣るためには、とにかくスムーズに、手返しと手際をよくする必要がありそうです。
名人の釣りを見せてくださいと尾崎さんにお願いしました。ここまでニコニコと見守ってくれていた尾崎さんは、ではちょっとやってみましょうと準備にかかると、あっという間に釣り竿2本の支度を整えました。尾崎さんは2本竿、いわゆる二刀流の名人なのでした。
そして14本針(!)の長い仕掛けを鮮やかに投入したかと思うと、右の竿、左の竿とリズミカルに魚を釣り上げていきます。一度に5、6匹が上がってきます。右に左に、流れるような竿さばきはまさに二刀流。ここは巌流島かと目を疑いますが、しかしストーブの上のヤカンが蒸気を立てるドーム船なのでした。宮本武蔵よろしく二刀流で釣果を重ねていく尾崎さん。
餌の付け替え、仕掛けの投入、魚の針外し……すべてがシームレスに、引っ掛かりのない動きは熟達の剣豪の刀さばきを思わせます。ワカサギ侍。
日が高くなってきた10時頃に、これまでの爆釣状態が落ち着きました。魚探を見ると、魚の群れがすっかりいなくなっています。なるほど、「朝の5分は昼の1時間」…。
こんなにも河口湖が釣れるワケ
普段はお隣の山中湖で活動をされている尾崎さんですが、河口湖のワカサギ環境を羨ましいと言います。
人気のワカサギ釣り場の多くは、他地域のワカサギを購入して放流しているのですが、河口湖ではここで採れた親魚から採卵し、稚魚を再び湖へ放っているそう。湖産のワカサギのため他地域に頼る必要がなくなり、また同時に産卵床を整備するなどの成果も出て湖内での自然産卵が増え、安定した資源量となっているのだとか。日本屈指の爆釣レイクには、漁業関係者の努力があるのです。
河口湖はブラックバスを公認した湖としても知られていますが、漁業関係者が一丸となって「釣り」を軸に据えた取り組みをされているという点で、国内でもユニークな湖と言えるでしょう。
尾崎さんは、ワカサギ以外には山梨県内で鮎や渓流釣りを楽しんでいるそうで、延べ竿での釣りの魅力なども嬉しそうに語るのでした。時折群れが戻ってきたタイミングでは多点がけで数を伸ばしてと、まったく退屈することなく午前の時間は過ぎていきました。
昼過ぎまで楽しんで、釣果はおよそ200匹(途中まではカウンターを押していましたが、途中からはすっかり忘れていました)! 遅れて釣り始めた尾崎さんも短時間で同じくらい釣り上げていて、さすがの一言。しかし200匹でもじゅうぶんに忙しい釣りでしたが、3500匹なんてどうやって釣るのでしょう……。
午後はサイクリング!
「河口湖一周くらいは余裕で走れちゃうんですか?」
と目を丸くする尾崎さんと別れ、午後からはサイクリングの部スタートです。たっぷり釣りをしたつもりでしたが、早朝からのワカサギ釣りでは陸にあがってもまだまだ太陽は高い位置にあるのでした。
まずは湖の北側へ向かいます。湖畔沿いに歩行者・自転車道が整備されていて、走りやすいのと、なんといっても風景が最高です。富士山がこんなにも近いロケーション! 湖を左手に走る反時計回りが走りやすいでしょう。
寒い中レンタサイクルで走っている外国人観光客の姿もちらほら。富士山を見ながらのサイクリングは、外国の方にはまたとない体験のハズ。山梨県内に在住の僕ですら感動を覚えるほどですから。
さて、自転車に乗りながらもついつい湖面に良さげなポイントを探してしまうのはRIDE&FISHあるあるでしょうか。春にはブラックバス釣りも盛んになる河口湖ですから、そんな視点で地形を見ながらのライドです。
さきほど尾崎さんが教えてくれたワカサギの自然産卵についても思い出します。目の前に広がるこの湖には、数え切れないほどの魚たちがいて、複雑な生態系があるのだろうと想像しながらペダルを踏んでいくと、ただ釣りをするだけよりもずっとこの湖が愛おしく思えてくるのでした。
観光地である河口湖ですので、サイクリングがてら立ち寄りたいスポットにも事欠きません。今、全国で地域の物産と文化とが最も集まっている場所は道の駅だと思いますが、河口湖畔の「旅の駅 kawaguchiko base」は立ち寄る価値あり。もちろんバイクラックを完備しています。
ここには河口湖地域の農産品や、富士山絡みの可愛らしいお菓子、名産ワイン、ジビエなどの地元グルメなどが集められていて、ぶらりと店内を巡るだけでもこの地の恵みが伝わってきます。
釣りではワカサギを通じて河口湖を知り、自転車では地形から河口湖を体感し、道の駅でその物産に触れる。一日をたっぷりと使って、様々な角度からこの地の魅力に浸る。RIDE&FISHならではの楽しみに大満足の冬の日となりました。
河口湖のワカサギシーズンの最盛期は3月いっぱい、4月までは楽しめるとのこと。そして春からはバス釣りもシーズンイン。サイクリングにも気持ちよい季節で、レンタサイクルも湖畔沿いに充実しています。一周しても30kmほどと、気軽に自転車で周れます。春夏秋冬どんな季節にも楽しめる河口湖でのRIDE&FISHを、ぜひお試しあれ!
Photo & Text by Yufta