

「汗」の持つ驚きの美肌効果
季節の変わり目こそ、外で体を動かして汗を流すチャンス。自転車通勤やサイクリングでもたくさんの汗をかきますね。「なるべく汗はかきたくない…」そう思ってしまうかもしれませんが、実は汗をかくことには、驚くべき健康メリットがあることがわかっています。今回は汗が健康にもたらす効果と、もっと上手に汗と付き合うヒントをご紹介します。
Contents
汗の役割
汗には、体を冷やして体温を保つという大切な働きがあります。
人間のようにマラソンのような長距離を走れる哺乳類は少なく、それが可能な理由は大量の汗をかいて体温を下げられる能力にあります。こうした高い発汗能力を持つのは、人間や馬などごく限られた動物です。
汗は打ち水と同じ原理で体を冷やします。汗が蒸発するときに生じる「気化熱」によって体内の熱が奪われるのです。運動などをして心拍数が上がり、血流が速くなって体が温まると、「汗を出せ」という指令が出ます。発汗がはじまると体表面が冷え、さらに蒸発することで熱が奪われ、適切な体温が保たれます。
このような汗の体温調節機能のおかげで、私たちは暑さに負けずに活動できるのです。
もし汗をかかなかったら
真夏の炎天下では、10分歩くだけでコップ半分(約100ml)の汗をかくと言われます。これは体温の上昇をおよそ1℃防ぐ量です。もし汗をかけなければ、わずか20分で体温は2℃上がり、体はあっという間に危険な状態に陥ります。頭がぼんやりし、めまいや吐き気が始まり、やがて立っていられなくなる――発汗は生命を維持するための、とても重要な冷却システムだと言えます。
汗の原料は血液
汗は汗腺で作られます。原料は、血液から赤血球などを除いた「血しょう」という液体。
血しょうには、たくさんのミネラルが含まれていますが、それらが体外に流出しないよう、汗腺の導管部というところでろ過されています。
良い汗をかくためには
汗腺のろ過機能を高めれば、ミネラルの損失が抑えられます。その方法は、“汗をたくさんかくこと”。運動習慣がある人の汗は成分が薄く効率良くろ過されています。汗を抑えるのではなく、定期的な適度な運動で、上手に汗をかいて汗腺を鍛えましょう。

美肌効果とデトックス
実は汗は体温調節だけでなく、美肌にも役立ちます。
汗をかくことで毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌を防ぎ、肌を清潔に保つため、肌荒れやニキビの予防にもなります。
さらに、汗には抗菌作用と保湿作用もあります。汗に含まれる抗菌ペプチドが細菌やウイルスの増殖を抑え、天然保湿因子が肌の水分バランスを整えます。加えて、汗には尿素も含まれていますが、尿素には保湿効果があり、洗浄後も肌にハリやツヤ、透明感を与え、バリア機能を高めて外部刺激から守ります。
ただし、汗はかいたままにせず、すぐに拭き取ったり洗い流したりすることが大切です。そのまま放置すると、せっかく取り除かれた汚れが再び皮膚に付着したり細菌が繁殖したりして、肌トラブルの原因になります。
実は汗は無臭!?
ご存知でしたか?実はかいたばかりの汗が無臭だということ。
では、あの汗くさいと言われるニオイの正体は?――それは、汗や皮膚の汚れをエサとする細菌から出るニオイ。
細菌が繁殖してニオイを出す前(運動後1時間以内)に、タオルやボディーシートで拭き取るなどすることでニオイを防ぐことができます。
水で濡らし、硬く絞ったタオルを前の晩に凍らせておいたものを準備しておくと、自転車通勤後やサイクリング後に程よく解凍されて、クールダウンしながら汗を拭きとることができます。冷たい濡れタオルで汗を拭き取ると、乾いたタオルに比べ、更なる発汗を防ぐ効果もあります。
おすすめの夏用インナー
自転車通勤時には通気性、速乾性、吸湿性に優れ、防臭効果のある素材のウェアがおすすめです。速乾性、通気性の高い素材はポリエステルなどの合成繊維です。あまり知られていませんが、夏用の薄いウールのインナーは、吸湿性が高く、防臭効果があり特におすすめです。 可能であれば、通勤後に着替えることがベストですが、難しい場合には服を着たまま脱げるタイプの汗取り用インナーも市販されています。
いかがでしたか?
あまり良いイメージのない汗ですが、実は体温調節から美肌まで、多くの効果があります。
特に、自転車通勤やサイクリングの前後にはしっかり水分補給を行い、運動後は汗を拭き取って洗顔やスキンケアを心がけましょう。さらに、紫外線対策を忘れずに行えば、肌のハリやツヤを保ちながら快適に運動を楽しめます。
季節の変わり目こそ、外で体を動かして汗を流すチャンスです。
十分な休養と、水分補給を意識しながら、自転車通勤などの定期的な運動で「良い汗」をかき、健康と美肌を手に入れましょう。